上海国際サーキット見学コース:エクスプロア
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上海国際サーキット見学コース:エクスプロア上海


上海国際サーキットゲート

 2004年以降、毎年F1グランプリ中国ステージが上海で実施されているが、その会場となっているのが上海市北西部にある「上海国際サーキット」。
 現時点で中国では大きな自動車レースの国際大会などはそれほど多くなく、かつ国内に幾つかのレースサーキットが誕生しているため、この上海国際サーキットはF1グランプリのほかはMotoGPなど幾つかの国際大会が行なわれるのみで、比較的余裕がある運営が行なわれている。
 そのため大きな大会が行なわれる期間以外は一般市民にもコースが開放され、お金を払えばコースの走行体験などができるようになっている。
 また走行体験とまで行かなくても、F1に興味を持っている人のために見学コースも設定されている。
 スタンドや各施設の見学ができ、レース期間中は入れないようなところまで見学ができるようになっており、中国語ではあるがガイドが同行し詳しい説明をしてくれる。
 以前は大変不便な立地であったが2009年に地下鉄11号線が市内から開通し、サーキットの目の前にも駅が開設され大変便利になった。今回はそんな上海国際サーキットの見学コースについてご紹介する。



 上海国際サーキットは、上海の軌道交通(地下鉄)11号線安亭支線の上海賽車場駅の駅前にある。と書いたが実はこのサーキットのほうが先に出来ており、レース観戦客のために地下鉄と駅をレース場の傍まで引っ張ってきたというのが実は正しい。上海市内の軌道交通2号線江蘇路駅からだと約47分かかるが、市内までの道路はレース開催時期に限らず常に朝晩渋滞しているので、以前に比べ行動が非常にスムーズになった。
 上海賽車場駅は他の一般駅とは違い、さすがイベント会場直結の駅らしくレース観戦客を捌くためにかなり余裕を持った構造となっており、駅の部分だけ地上に露出して非常に開放感のある雰囲気を備えている。
 またプラットホームも対面式で一線あたり非常に余裕のある広さになっており、改札階の廊下も円形でまさにサーキット(周回路)の玄関口にふさわしい表現がされている。
上海賽車場駅 上海賽車場駅外観



 さて駅を出ると非常大きなスタンドとその前に広がる大きな駐車場が目に入る。
さすがにこの取材時はレースも何もない日であったので駐車場はガラガラであったが、レース当日はここが観客の自動車で埋め尽くされるはずである。
ただ現状はレース数が非常に少ないことを考えると、サーキット設備はともかくこの駐車場スペースまでレース期間以外は遊ばせておくことになり非常にもったいないように思える。こんな空間を目にすると何か活用の方法はないのであろうかと考えずにはいられない。この日もただだだっ広い駐車場を風が吹きぬけていた。
上海国際サーキット駐車場 上海国際サーキットスタンド外観



 正面に見えているスタンド方向に歩くと、右側に体験乗車コースと見学コース用のゲートがあり、そのすぐ脇にチケット売り場がある。
見学コースは一人50元。決して安くもないが設備の特殊性や設備の維持費などを考えると、上海市内の他の観光施設に比べそれほど高いものとは言えないであろう。上海浦東の高層ビルなどの展望台はどれも100元では足りないのが上海の観光価格である。
そのほかF1マシンの体験乗車がなんと1周2000元!運転してくれるドライバーのその職業特殊性やF1マシンの特殊性をを考えると、決して高くないのかもしれないが、ちょっと手が出しにくい価格設定である。
 しかもさらに自分で運転したいと思えば、8000~11000元を払えば可能だという。ここまで来ると普通の人にはまず手が出ない。実際コースの周回ラップタイムは4分にも満たないので、時間的には束の間の体験のための費用となる。まあ余程のF1好きでもお金に余裕がなければなかなか挑戦できないであろう。
 ちなみにコースだけを体験したいという人は自分で車を持ち込んで回ることもできる。これならば2周で200元とレーシングマシン体験に比べれば非常に安い。
 が、これとてF1マシンでなくとも、それなりのスピードのでる車でなければ意味がないであろう。軽乗用車でも断られないとは思うが意味がない。
 今回は残念ながら自家用車や体験乗車の費用なんぞ用意していなかったので、おとなしく見学コースで施設のみを見学することになった。
上海国際サーキット看板 上海国際サーキットチケット売り場


 さて見学コースは、切符売り場のゲートをスタンド方向に向かい、正面に見える一階のコーヒーショップのそばに受付がある。レーシングスーツのような制服に身を包んだ女性のガイドさんが案内をしてくれることになった。
 早速ガイドのお姉さんに連れられ、まず一階の模型室に案内される。
 ここにはスタンドを含めたコース全体の模型が展示してある。こういった模型があるとコース全体の雰囲気と形状がとてもわかりやすい。
 上海国際サーキットのコースは上空から見ると、上海のコースらしく「上」の字を模っていることがわかる。メインスタンドは「上」の字の縦棒部分で、左側にスタンドがある。
 さらに「上」の右側の字にあたる部分に小さなサーキットがあり、こちらはカート場である。
 このカート場はミニカート用なので、さすがにF1マシンのようなスピードは出ないが、素人の来場客でもそれなりにレース気分を味わうことができ、子供だけでなく大人も十分楽しめるコースになっているようだ。こちらのカートは低速車が80元/回、高速車が120元/回で乗れる。
 模型室の壁にはF1グランプリの行なわれる世界のサーキット場などの写真も展示してある。
上海国際サーキット案内表示 上海国際サーキット見学コース入り口
上海国際サーキット模型室展示 上海国際サーキット模型


 そして、今度はこの部屋よりエレベータで3階に上がっていよいよスタンドへ向かう。野球のスタジアムのようなコンクリート打ちっぱなしの雰囲気はスポーツ競技場特有のスタイルである。条件反射的に否が応でも期待が高まってしまう。そしてコース側のスタンドに出る。
 いよいよサーキットコースとご対面である。辿りついたのはメインスタンドで屋根付の観客席には黄色っぽい椅子が備えつけられ数百メートルのスタンドいっぱいに置かれている。そして目の前に大きな直線のコースが横たわる。プレスルームのある建物がコースを大きく跨ぎそこからメインスタンド前のいわゆるビクトリーロードが始まっている。
 この日も、試乗マシンかどうかわからないが3、4台ほどのマシンがコースを走っていた。
 メインスタンド前は長い直線になっており、マシンスピードも時速300km以上出ているとの話で、目の前を一瞬で通り過ぎる。スタンドを抜けるエンジン音はすさまじくまさに轟音だ。
 本物のレースではないにしろ、このメインスタンドからF1マシンが走行する姿を見ることができるのは貴重な体験とも言える。
 実際のレースの際はスタートもゴールもこのメインスタンド前で行なわれるので、チケット価格も一番高いようだ。2010年の例だと日本円で一日5万円近くもする。まあそれだけの価値がある場所なのかも知れないことはこの場所に立つだけでひしひしと伝わってくる気がする。
上海国際サーキットスタンド裏 上海国際サーキットメインスタンド



 次に訪れたのが、メインスタンドの観客におおきな存在感を示すそのプレスルーム。
レース開催時には、当然世界中から集まったメディアで埋め尽くされるのでお金を払っても一般人が入りこむことができないエリアである。
 もちろん、何のイベントも無いときは単に机と電話が並べてあるだけの会議室のような部屋でしかなく当日の記者はもとより設備も全く配置されていないので当日の緊張感を窺い知るべきもない。
それにしても想像していたより広い。ホテルの会議室のような規模で200~300人は収容できるだろうか?それだけF1というイベントのために世界中のプレスが集まるということになる。
 このプレスルームは、F1の実況を世界に伝える役割を担うというだけあって非常に見晴らしがよく、メインスタンド前の直線部分がはっきり見渡せる。コースを跨ぐこのプレスルームからはちょうど足元をマシンが通りぬけていく格好になる。メインスタンド前以外にもコース全体の状況を見渡せるようになっており実に爽快な眺めだ。メインスタンドと反対側に目を向けるとヘアピンカーブの周囲に傘のような屋根のついたスタンドが見え、非常に美しい。見学者にとってはレースがない日ならではの特権というべき景色である。
上海国際サーキットプレスルーム外観 上海国際サーキットプレスルーム内部
上海国際サーキットメインスタンド直線 上海国際サーキットコーナー



 ところでこのプレスルームのそばの建物の足元にはヘリポートをが設置してあった。そばに大きな医療処置室も建っている。
 F1のような高速マシンレースは常に危険と隣り合わせであり、重大事故の可能性があるのでこういった万が一に備えての設備は必須である。ひとたび事故が起きれば、高速レースであるだけに患者は重症を負う可能性が高く、状況によってはヘリで病院まで患者を運ぶ体制になっているのである。

上海国際サーキットヘリポート 上海国際サーキット緊急車



 さて今度はコースの反対側に下り、表彰台のある場所へ向かう。表彰台はテレビで見ると画面全体に映るので大きそうに見えるが、実際にそばに行くと思ったよりこじんまりしている。いわゆる真ん中が一番高い3段の表彰台と後部の衝立があるだけである。しかも通路上に作られているので非常に狭い。とはいえメインスタンドに相対する位置にあるので当然観客の目の全てがここに集まり、ここでウィナーのシャンパンパフォーマンスが行なわれる。つまり勝者だけが立つ事を許されるいわばドライバーたちの目指す聖地とも言える頂点がこの小さな場所である。この小さな頂点のためにとてつもない額のお金が世界中から注ぎ込まれているかを考えるとちょっと恐れ多さも感じる場所である。

上海国際サーキット表彰台 上海国際サーキット表彰台アップ



 表彰台を離れてパドックの裏に出る。さすがにマシンパドックまでは入れないようだがその裏側のスペースとドライバーやスタッフの控え室を見ることができた。
 それほど特別なつくりではなく、簡単なキッチンとシャワールームがあるだけで比較的簡単な構成だ。
とはいえ各チームに対して一つ一つこれだけの設備が整えられているということ自体が非常に贅沢でもあり、F1のスタッフたちに最大限の配慮が払われている証拠でもある。
 このスタッフの控え室の建物の裏には緑と池があり、戦士たちの束の間の目の保養と安らぎを与えてくれものと想像される。
上海国際サーキットスタッフ休憩室 上海国際サーキットスタッフ休憩室キッチン



 今回の見学コースは以上となる。1時間にも満たない短い見学コースではあるが、普段テレビでしか見ることができないサーキットの内側を覗くことができ、非常に貴重な体験となった。
ショップではF1やサーキットにちなんだお土産も多数売られており、見学の記念のいいお土産として何か買ってかえるのもよい。
上海国際サーキット帽子 上海国際サーキット人形


 ただ、サーキットの本領が発揮されるのはやはりレース本番の日である。
 2011年のF1中国グランプリは4月15日(金)~17日(日)に開催され、エクスプロア中国トラベルでもF1上海GPのチケット販売やツアーの申し込みも受け付けている。
 自動車販売台数が世界一になったといわれる中国は今後もますますモータースポーツが熱くなるであろう。

 
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上海国際サーキット
住所:嘉定区安亭鎮伊寧路2000号
TEL:(021)69569516
見学コース:50元/人 9:30-16:30の間随時受付(レース開催時を除いて年中無休)
※本文中の試乗体験などは事前予約が必要。
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(2011年1月記)











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