商悦青年会大酒店:東西折衷のオールド建築に新感覚のビジネスホテル :エクスプロア上海
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商悦青年会大酒店:東西折衷のオールド建築に新感覚のビジネスホテル


 上海には中欧折衷の建物は3つある。一つは外灘23号の中国銀行ビル、そして旧上海市博物館ビル(現在は長海医院レントゲン棟)、そしてもう一つがここで紹介するマーベルホテル上海(商悦青年会大酒店)である。

 地下鉄8号線の「大世界駅」を出るとすぐ正面に建物が見え、非常に便利な場所に立地することがわかる。至近距離には上海音楽庁(上海コンサートホール)上海博物館、そして人民広場が存在する。つまりここは上海の繁華街の中でもさらにゴールデンエリアなのである。

 ビルの1階と2階はベージュで、その上の階からはダークブラウンの外観で統一されている。建物は軒反り屋根の四角型で高くそびえる様は古代中国の城郭のようだ。欧風建築があふれている上海で、このようにはっきりと中国風を前面に出し、しかも80年もの歴史がある建築物というのは非常に貴重な存在である。


•  80年の歴史
以前は魯迅の講演会場だった

 マーベルホテル上海(商悦青年会大酒店)の前身は「八仙橋青年会大楼」である。これは中国人デザイナーが最初に設計した中華スタイルの高層建築で中国人建築家の李錦沛、範文照、趙深などが設計にあたり、老舗のゼネコン「江裕記」が施工にあたった。

 建設にあたってはYMCA(キリスト教青年会、Young Men's Christian Association)が投資している。

 1929年10月に着工され、1931年に完成している。建築費用は100万元。鉄筋コンクリート構造で10階建て。建築面積は2211平方メートル。洋風クラシック建築と中国の伝統的建築及び現代建築それぞれの特徴を併せ持つ。

 YMCAはキリスト教系の非営利団体で、1844年にロンドンの商人ジョ ージ・ウィリアムズによって設立された。1885年(光緒11年)YMCAは中国に進出し、その後1900年に上海青年会を設立している。このときは発起人には顔恵慶、張振聲、宋嘉樹(宋耀如)らが名を連ねる。

 そして現在もこのホテルの所有者は依然としてYMCAである。

 中華民国時代、このビルでは科学や近代文化を学ぶ講座や様々なセミナー、そして展覧会や音楽会など、青少年のための行事がいろいろと開催された。1930年代には魯迅がここで青少年に向けた講演会を何度も行い、またここで行われた青少年木版画展覧会にも参加した。(右の写真は魯迅と青年木版画家たちとの交流場面)。

 今ではここは上海市の保護文化財、そしてトップクラスの建築物の一つとなった。

 

天井絵
ロビー

1936年、映画スターの趙丹がここで結婚式を
挙げた

上海音楽庁側の景色

宋家の三姉妹(宋靄齢、慶齢、美齢)の父
・宋嘉樹は1900年1月6日に上海キリスト教
中国青年会董事に就任

客室から屋根部分が見える

•  “商悦”ブランドとしてリニューアルオープン
キーワードは4つのB( Bed 、Bathroom 、Breakfast 、Business )

 老舗だった青年会酒店は2010年1月28日にリニューアルオープンして、装いも新たに宿泊客を迎えることとなった。

 「商悦」は上海錦江グループが新しく打ち出したビジネスホテルブランドの一つである。
 上海錦江グループはまず上海で数軒「商悦」ブランドのホテルをオープンする予定で、その後は全国展開を視野に入れている。

 「青年会酒店は商悦ブランドの最初のホテルです。今後たくさんの商悦ホテルができ、一つのブランドを多くのホテルが共有するようになります。」
とホテルのセールスマネージャーの李さんは話してくれた。

 李マネージャーによると、ホテルは改装後もロビー、階段、窓などの部分は歴史的建造物であるもともとの雰囲気を残しているという。

 確かに外側から見ると、この建物は何も変わっていないように見える。 
「80年の歴史を持つ建築物の雰囲気を壊さないようにし、その範囲で創意工夫をしました。これらはこのホテルの財産ですから心して守っていかなければならないと考えています。
以前ここで20年ほど働いていたシェフがホテルを改装の最中に見学に来て、ロビーの天井絵と四角い床板を見て、彼が働いていたときとまったく変わらないと言ってくれました」とのこと。

 ホテルにはもともと180部屋あったが、今回の改装で142部屋となった。また3つのスイートルームを2つの部屋に仕切り直したので、現在一番良い部屋は広さが36平方メートルもあるという。

 部屋を見させていただくと、客室内は清潔で明るくアットホームな雰囲気となっていて、内装はシンプルでモダン、142の客室すべてに中華風の家具と「錦江東方の夢」という名の心地よい大型ベッドが置かれていた。また浴室も広めで、シャワーノズルはレインフォールタイプになっている。朝食やLANケーブルの利用は無料サービスとのこと。コインランドリーもある。約半分の部屋からは赤い屋根にとび色の壁という欧風建築の上海音楽庁と、その周囲の芝生が見渡せる。

 この日筆者が取材したのはデラックスルームで、ベッドのほかデスクや応接セットが備えられてあった。

 「当ホテルは5つ星ホテル並みの設備にしました」と李マネージャーは誇らしげに語る。

シングルルーム
ツインルーム
デラックスルームのデスク
デラックスルームの応接セット
テレビを見ながら入浴できるバスルーム
バスタブつきのバスルーム

 こちらのホテル内のレストランでは、朝食バイキング、ビジネス定食、アラカルトなどを用意しており、ルームサービスは24時間対応。ホテル周辺には、雲南路の美食街が近いほか、「小紹興」や「燕雲楼」などの有名なレストランが軒を連ねる。

 ホテル2階には大小二種類の会議室があり、無線LANやプロジェクター、会議用音響システムが整っている。大会議室は100人以上収容可能で会議にも研修などにも利用できる。小会議室の収容人数は数十人で、比較的小規模な会議に向いている。

 ロビーには情報端末機があり、飛行機や列車の時刻表や、市内交通やショッピング、レジャー、レストランなど街の情報を検索できる。どの客室にもビジネス用に作られたインターネットテレビがあり、スイッチを入れ簡単なキーボード操作で買い物やルームサービスの注文ができる。日本語でも操作可能とのこと。個人のパソコンがなくても、これを使ってインターネットを楽しむことができる。このシステムはYOSHIBA製だという。TOSHIBAでもなくどこのメーカーだろうか。

 新しいタイプのビジネスホテルとして、このホテルには長期滞在用のサービスも備えている。例えば宿泊客はランドリーサービスを頼むこともできるが、4階にランドリールームがあり、コインランドリーで自分で洗濯することもできる。自動乾燥までできるので大変便利。

ロビーの情報端末機
客室のインターネットテレビ
大会議室
ランドリールーム

場所は非常に便利:
ホテルの正面に上海音楽庁
徒歩5~10分圏内:上海博物館、上海大劇院、人民広場
徒歩10分圏内:淮海路遊歩道 
徒歩15分圏内:南京路遊歩道 
徒歩15分圏内:豫园  
徒歩20分圏内:外灘 
徒歩20分圏内:上海新天地

万博の期間中は、ホテルの玄関前からすぐの地下鉄8号線に乗って周家渡駅または耀華路駅(駅を出てすぐのところに中国館がある)で下車、万博会場に着くことができる。地下鉄の乗車時間はたった10分だ。
現在ホテルでは万博期間中の予約を受付ている。

◎住所:

上海市黄浦区西蔵南路 123 号 【地図

◎交通:

地下鉄:軌道交通8号線 --大世界駅下車;
バス: 01 、 71 、 123 、 127 、 202 、 311 、 451 、 454 、 455 (申陸専線)、 584 、 789 、 934 路、隧道三、四、六線等。

◎ご予約はこちらから http://travel.explore.ne.jp/hotel/hotels/74198/

(2010年2月記)













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