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上海のオールドホテルを巡る その2
 
 

瑞金賓館  

RUIJIN GUESTHOUSE

 



 瑞金ニ路といえば、沿道の並木が美しい落ちつた雰囲気をもった通りである。瑞金賓館は、そんな大都会上海のなかにあって、ちょっとした街のオアシス的な、広々とした緑に囲まれたホテルである。

 ホテルといっても、敷地内に近代的な高いビルが建っているわけでもなく、2-3階だてのいかにも古そうな洋館が建ち並んでいる。激動の上海の近代史を見てきたこの広大な屋敷は、実はもともと、イギリス商人モリスの邸宅であった。

       モリスの邸宅となった1号楼

  1843年上海が開港する。

多くの外国人が富を求めて上海にやってきた。まさに投資ブームに沸いた上海であった。

1867年に上海にやってきたモリスもその一人である。もともとは匯豊銀行で仕事をしていたモリスだが、その後上海で盛んであった競馬に目覚める。競馬で当てた資金で、1901年の外灘17号への不動産投資を皮切りに、次々と不動産を買収していく。一昔前の上海人の間にも「モリス」の名前は結構知れ渡っていた。というのも、現在の武勝路・延安東路・重慶北路・大沽路一帯にはモリスが建設したアパートが数々あり、「モリス」の中国名「馬立斯」の名前の一部をとって馬楽里、馬吉里などの名前がつけられていた。さらにモリスは市場も設置して、野菜などの販売していた。これら食料品を求めて、市民が沢山訪れてきたという。この当時、上海でアパートなどの不動産投資に成功した外国人は少なくなかった。モリスも親子2代にわたって、上海で投資を続ける。

この邸宅は実に広い。面積は約77000平方メートル、約1135平方メートルの建築物の延床面積は実に9855平方メートルに及ぶ。モリスは馬と犬が非常に好きだったため、りっぱな馬屋と犬小屋が設置された。いずれもなかなかそこらでは手に入らない名馬・名犬を飼育していたようだ。1917年に建物全体が完成する。                                                              モリスは1号楼を自分の邸宅とした。赤っぽい瓦が敷かれた屋根、赤レンガを多用した風格は、まさにイギリスの建築様式を色濃く残す。さらに内装は非常に凝っていて、チーク材で作られたフローリングに使っていたほか、寝室・書斎・ダイニングなど各部屋には木材をふんだんに使った彫刻を用い、さらに水晶でできたシャンデリアなど非常に優雅なインテリアであったという。ガーデンには、噴水や四季折々の花が咲き乱れ、庭園の中を流れる小川には、小さな橋がかかっていた。

瑞金賓館となっている2号楼。レストラン「小南国」もこのなかにある。

しかし、その泡金は、徐々に不動産からアヘンへと流れ出す。アヘンで暴利を稼ぐ外国商人も増えてくる。そして徐々に上海の情勢も雲行きが怪しくなっていく。

 1924年、モリスは自宅の北面にある4号楼などいくつかの建物を日本の三井洋行に売り払う。イタリア・ルネッサンス建築の風格を持つこの4号楼付近は、「三井花園」とよばれた。その後、太平洋戦争が勃発し、「三井花園」はアヘン取引のアジトとして暗躍する。現在でもこの4号楼はインド料理のレストランとして残っている。

 

三井花園(4号楼)現在はインド料理のレストラン

戦後は、その広大な敷地と便利な立地条件から、国民党が接収し、国民党の上層部が使用したほか、鄧小平や上海市長の陳毅などもここに住んだ時期があった。その後は国家元首など国賓を接待するいわゆる「迎賓館」的な役割を果たしてきた。そのため建物全体は大切に保存され、モリス時代の面影を今でも十分に残している。

80年代に瑞金賓館として対外開放され、上海でもっとも古いオールドホテルの一つとして、今でも訪れる客は絶えない。さらに現在では、新婚写真を撮りにやってくる新婚カップルも少なくない。モリスが住んだ1号楼の前の広い芝生では、野外パーテイーなどもよく開かれている。                             

 

ホテルエントランス

(文・写真 山之内 淳

瑞金賓館

瑞金ニ路118号 【地図
TEL:(021)64725222
FAX:(021)64732277
日本語:月・火・水の8:00から16:30まで日本語OK
チェックイン:18:00まで
チェックアウト:12:00まで
Master/VISA/AMEX/Diners Club/JCB

 

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