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上海の政治経済概要
(2004年8月記、2007年12月改訂)

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上海交通地図の定番。2010年4月発行最新版。
中国の経済発展は1970年代末から始まったが、その中心は広東省の深セン・珠海・汕頭、福建省のアモイに設けられた経済特区であり、上海市の発展は1990年代まで待たねばならなかった。しかしその後は年率10%をも超える高成長を維持しており、今では中国一の経済力をもつ都市となるに至っている。成長を牽引してきたのは外資だ。1992年頃以降、先進国の企業が挙って進出してきており、中でも日本企業の多さがめだっている。上海経済は外国への依存が極めて高いのが特徴といっていいだろう。

行政

上海市は北京市・天津市・重慶市と並ぶ「中央直轄特別市」。中央直轄特別市は「省」や「自治区」と同格であり、例えば南京市や広州市よりも行政上の地位が高い。

上海市長は韓正氏(1954年生・浙江省慈渓市出身)。1998年から上海市副市長を務め49歳の若さで2003年2月に市長に就任した。党書記については2007年5月に習近平氏(1953年生・陜西省富平県出身)が就任したが、同年10月の中央の党大会で中国の最高指導部である政治局常務委員に選出されている。党書記は共産党での序列ナンバーワンであり、党内では市長よりも上位となる。


経済成長の推移

上海の発展は中国南部に比べ遅れて始まっている。

1984年に沿海14都市の一つに指定され経済特区に準ずる外資優遇政策を持つ経済技術開発区が市内の3ヵ所に設けられるなどしたが、80年代を通じて上海の発展は広東省の経済特区に比べれば緩やかなものであった。

1989年の天安門事件以降一時的に落ち込んだ後、1990年に浦東新区の開発が国家プロジェクトとして開始され経済特区並みの優遇政策が与えられることとなり急速な成長が始まる。さらに 小平氏の南巡講話(1992年、 小平氏が上海、深セン、珠海、武漢を視察し、改革開放政策の成功を宣言し、さらなる開放を推し進めるべきと唱えた講話)以降、上海の発展が強力に推し進められることとなった。1990年代の中国の発展は上海中心といってよく、1993年前後のGDP成長率は14%を超える高成長を誇った。

1997年のアジア金融危機以降、一次景気は調整局面に入るが2002年から回復基調に入る。

2005年頃に短い調整がなされ成長率は2004年の14.2%から11.1%に落ち込むが、すぐに上昇に転じ、昨今では不動産市況などにみられるように、景気過熱感が出てきている。物価上昇も顕著になってきており、不動産関連規制など各種景気過熱抑制政策が採られている。



産業の構造

第1次産業の占める割合が極端に低い。金融・貿易・物流の中心地である上海は第3次産業の発展が著しく、全GDPのほぼ半分を第3次産業が稼ぎ出している。

第十一次5ヵ年計画でも、現代的サービス業の優先的発展を最重要視することが宣言されている。具体的には金融業、物流業、レジャー・娯楽などの文化関連産業等の発展が図られる。

第十一次5ヵ年計画では、現代的サービス業に続いて先進的製造業の発展を目指すことが掲げられた。すなわち、自動車、発電プラントや交通車両などの大型設備、船舶、航空、自動車研究開発、集積回路、バイオ関連等の製造業であり、それぞれ育成が図られている。


交通インフラ整備

市内・近郊の軌道交通については1号線から11号線まで11本の路線が開通しており、上海市内を東西と南北の十字状に結ぶほか、市街地を囲むように4号線が環状運転を行っている。2010年の上海万博開幕前までに中心部の主要路線は概ね整備され、軌道交通の総延長は約430kmに達した。今後の地下鉄整備は市郊外地区へむけての放射状の路線が中心となり、省境を越えて蘇州の地下鉄とドッキングする計画もあり工事が進められている。市内だけでなく上海市郊外からのアクセスも格段に改善されることになる。リニアモーターカーは市東部から浦東空港までの約30kmを最高速度は430km/hで8 分弱で結ぶ。  

高速道路・高架道路は、市街地については、内環状線・中環状線・外環状線の三本と南北高架路と市街地を東西に貫く延安高架路がある。市郊外についても、上海万博までに主要路線の整備は終わったが、今後も数年内に更なる整備計画があり、まさしく市内と周辺都市を網羅したネットワークができあがる。市街地の慢性的はかつてに比べれば解消されたが、近年の自動車保有台数の増加により現在でも朝夕の激しい渋滞が発生している。

空港については、従来は民用空港は上海虹橋国際空港のみだったが、1999年に上海浦東国際空港が開港した。現在4000メートル×60m、3800メートル×60m、3400メートル×60mの3本。年間取扱可能旅客数4000万人だが、最終的には各4本、8000万人に拡張される。基本的に国際線は浦東空港、国内線は虹橋空港とのすみ分けがあるが、浦東空港発着の国内線も少なくなく、また2007年9月からは虹橋-羽田線が飛び始め、さらに2010年虹橋空港に第2ターミナルがオープンし2本目の滑走路の供用が開始され、隣接する上海虹橋駅から南京と杭州へそれぞれ高速鉄道が開通しておりスムーズな交通ネットワークが整備されている。

上海港の2007年の貨物取扱量は5.6億トンに達する見込みで、2005年にシンガポールを抜き世界一となった。コンテナ取扱量は2007年に2550万TEUを突破し、シンガポールに次ぐ世界二位となる見込み。上海港には水深が浅くかつ長江により運ばれる土砂が絶えず堆積するという問題があるが、こうした問題を解決すべく、浦東新区の芦潮港沖の洋上に洋山港が建設されている。2007年末までには第3期工事までが完成する予定で、最終的には2000万TEUが取り扱われるという。


対外関係

(1)貿易
2006年の輸出額は1136億ドル、輸入額は1139億ドル。輸出額は全GDPの約87.3%にもなり、上海経済の対外経済への依存度が非常に高いことを示している。5年前の2001年は同43.9%なので、対外依存度の深まりが昨今顕著であるということができる。全中国に占める比率は輸出が約12%、輸入が約14%で、上海が中国の主要な貿易基地であることがわかる。国別では、輸出・輸入ともに日本の占める割合が非常に高く、輸出で13.3%、輸入で16.9%が対日本となっている。

(2)直接投資
上海市への海外からの直接投資は鄧小平氏が南巡講話を行った1992年までは非常に少なかった。1992年から急増し、1997年のアジア金融危機の影響もあり99年頃に一時的に落ち込むが、2000年頃より再び増加に転じ、上海ブームの中で2002年には契約金額で前年同期比43.8%も増加した。ただ昨今は投資ブームも一段落した感があり、2006年は契約金額で5.3%増・実行金額で3.8%増となっている。上海への直接投資額(実行金額)は全中国の10.2%を占める。2006年末までの累計は契約件数は44547件、契約金額は1145億ドル、実行金額は668億ドル。

第十一5ヵ年計画では、外資の量のみならず質を高めること、上海にグローバル企業の地域本部の設置を促していくことなどが宣言されており、今後も一層の外資導入が目指されていくものと考えられる。

国別では、香港に次いで日本からの投資が多く、ドイツ、アメリカと続く。日本からの投資は実行金額で11.7%を占める。2006年末現在、日本からの直接投資契約件数の累計は6376件、契約金額累計は130.8億ドル、実行金額累計は95.2億ドル。実行金額累計は全体の14.3%を占めており、上海経済において重要な位置を占めていることがわかる。

(3)観光
上海には北京や西安などに比べれば見るべき観光資源がないが、2006年には延べ606万人が国外から上海に観光で訪れている。昨今の上海ブームも反映し日本からの旅行者も多く延べ136.9万人が訪れた。2000年に比べると2.5倍以上の増加となっている。

(4)友好都市等

横浜市、大阪府、大阪市と友好都市の関係にある。締結年はそれぞれ1973年、1974年、1980年。さらに1996年に長崎県と友好交流関係都市となっている。



主要経済指標
96年 97年 98年 99年 00年 01年 02年 03年 04年 05年 06年
人口 万人 1304 1305 1307 1313 1322 1327 1334 1342 1352 1360 1368
GDP成長率 13.1 12.8 10.3 10.4 11.0 10.5 11.3 12.3 14.2 11.1 12.0
GDP 億元 2902 3360 3688 4035 4551 4951 5409 6251 7450 9144 10297
1人当りGDP 22275 25750 28240 30805 34547 37382 40646 46718 55307 67235 75270
1人当りGDP ドル 2679 3106 3411 3721 4173 4516 4911 5644 6682 8208 9442
固定資産
投資額伸率
21.9 1.3 ▲0.6 ▲5.5 0.7 6.7 9.6 12.1 25.8 14.8 10.8
社会商品
販売額伸率
19.7 14.1 11.0 8.1 8.3 8.1 9.3 9.1 10.5 11.9 13.0
小売物価上昇率 9.2 2.8 0.0 1.5 2.5 0.0 0.5 0.1 2.2 1.0 1.2
住宅販売
価格上昇率
    ▲4.3 ▲3.7 ▲1.5 2.1 8.7 21.4 15.8 9.2 ▲3.2
住宅賃貸
価格上昇率
    51.9 31.7 4.1 7.4 0.0 1.2 1.3 3.3 2.3
都市住民
1人当り年間
可処分収入
8159 8439 8773 10932 11718 12883 13250 14867 16683 18645 20668
平均月給 889 952 1005 1179 1287 1480 1621 1847 2033 2235 2464
輸出額 億ドル 132.3 147.2 159.5 187.8 253.5 276.2 320.6 484.8 735.2 907.4 1135.7
 同伸率 14.3 11.3 8.4 17.7 35.0 9.0 16.1 51.2 51.7 23.4 25.2
輸入額 億ドル 90.3 100.4 153.9 198.2 293.6 332.7 406.1 639.2 865.1 956.2 1139.1
 同伸率 21.2 11.2 53.3 28.8 48.1 13.3 22.1 57.4 35.3 10.5 19.1
直接投資
契約件数
2106 1802 1490 1472 1814 2458 3012 4321 4334 4091 4061
直接投資
契約金額
億ドル 58.1 53.2 58.5 41.0 63.9 73.7 105.8 110.6 116.9 138.3 145.7
直接投資
実行金額
億ドル 47.2 48.1 36.4 30.5 31.6 43.9 50.3 58.5 65.4 68.5 71.1
 同伸率 45.1 2.0 ▲24.3 ▲16.2 3.7 38.9 14.6 16.3 11.8 4.7 3.8

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